農林水産省は、農地で在りながら農業に使用していない「耕作放棄地(遊休農地)」に太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電する大規模な施設を造るための仕組みを構築します。点在する耕作放棄地を集約する手続きを簡素化し、大量のソーラーパネル等を設置できるようにして再生可能エネルギーの本格普及を促すと共に、売電収入等の利益を農村振興に繋げ、荒廃した耕作放棄地の縮小と農地の復元・保全も狙います。
農家の高齢化と後継者不足、過疎化に伴って日本全体の農地の約9%に相当する40万haが耕作放棄地で占め、毎年増え続けた結果、埼玉県の面積を上回る規模に達しています。現在でも『農地法』第4・5条規定の「農地転用許可制度」に基づき耕作放棄地を非農地化する手続きを行えば、再生可能エネルギーによる発電施設を造ることが可能です。しかし、狭隘な国土である日本の場合、虫食いの如く点在している耕作放棄地で広大な用地を必要とするメガソーラー(大規模太陽光発電所)のような再生可能エネルギー発電施設を造ることは事実上困難です。
耕作放棄地面積の推移(全国)

<出所>農林水産省
農林水産省は、耕作放棄地を集約して大規模な再生可能エネルギー発電施設の用地を確保し易くするため、農家の合意を得たうえで、市町村が集落単位で一括して複数の農地と耕作放棄地の所有権等を移転できる仕組みを構築します。具体的には、再生可能エネルギー発電事業者が市町村で構成する協議会の認定を受ければ、都道府県知事から農地転用許可を得る等の煩雑な手続きを省くことができます。また、地方公共団体である市町村が介在することで集約した後の地権者との契約が円滑化する相乗効果も期待されます。これまでは、思惑が錯綜する複数の地権者と個別に交渉しなければならなかったため、農村で大規模な再生可能エネルギー発電を行う際のボトルネック(隘路)となっていました。

耕作放棄地の集約は、集落内の通常の農地と交換して進められるため、通常の農地も上図のとおり一塊となります。耕作放棄地と同じく点在している小規模な農家は、非効率で生産コストが上がっており、農家の大規模化とも整合性が取れる仕組みとすることで、災害に強い再生可能エネルギーの本格普及のみでなく農業そのものの強化を図ります。耕作放棄地を再生可能エネルギー発電事業者に譲渡や貸与する農家は、農地に関する固定資産税の優遇が受けられなくなりますが、契約内容によっては、地代のほか売電収入を一定の割合で受け取れる見通しです。
2011年5月23日に行われた参議院・行政監視委員会「原発事故と行政監視システムの在り方」で参考人としてソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏が提唱した“電田(でんでん)プロジェクト”と銘打ったメガソーラー建設プロジェクトは、農地用途のままで一時的に大規模な太陽光発電施設を造る苦肉の策でした。“平成の農地解放(農地改革)”と呼べる耕作放棄地の集約は、環境に優しい太陽光や風力など無尽蔵な自然の恵み(再生可能エネルギー)を最大限に活かした合理的かつ持続可能な農村振興といえるでしょう。
【以下URLもご参照ください!】
『衆ノ雑感』山田衆三のブログ
「農家の戸別所得補償」http://yamada-shuzo.dreamlog.jp/archives/51932541.html





















