森林所有者が伐採後、新たな植林をせずに放置する「再造林放棄地」を減らそうと、日田・佐伯市など大分県内の林業関係者は、出荷量や取引量に応じて協力金を出し合い森林再生基金を運用する受け皿団体となる森林再生機構を設立し、2010年4月から杉や檜など針葉樹の人工林皆伐跡地を対象とした再造林支援に充てる制度を始める。宮城県と宮崎県で類似の制度があるものの、森林資源の恩恵を受ける伐出業者(出荷者)・原木市売市場(原木市場)・加工業者(製材工場)の3者が揃っての取り組みは、大分県が全国唯一であるという。
「植林未済地」、「皆伐放棄地」とも呼ばれる再造林放棄地は、1990年代後半から大分県が位置する九州地方を中心に発生し、2000年以降に急増、現在も拡大している。生産効率だけを優先した無秩序な林業経営が人工林を荒廃させ、森林資源の減少や生物多様性保全・水源涵養機能の著しい低下を招き、土砂流出・洪水等の災害の危険性が懸念されるなど社会問題となっている。人工林の植生を回復させる再造林政策は、森林の多様な機能の持続的な発揮や温室効果ガス(二酸化炭素)吸収による地球温暖化防止、生活環境・国土保全にとって極めて重要である。
日田杉など林業が主要産業の大分県では、2008年度に伐採された森林が1347haであるのに対し、再造林は、3割の393ha足らずで台風被害の復旧を除き長らく減少基調にある。農林水産省の外局である林野庁や大分県庁から再造林費用の68%が補助されるが、不況による木材価格の低迷等で森林所有者にとってそれでは採算を取る(再造林費用を回収する)ことが難しいため、再造林放棄地の拡大を食い止めるべく林業関係者が2009年5月に再造林支援システム研究会を設置して以降、対応を検討していた。
大分県の造林面積の推移

<出所>大分県庁森林整備室
再造林支援システム研究会によると、原木1m3当たり出荷者と製材工場がそれぞれ20円、原木市場が10円の協力金を拠出し、森林所有者には、森林再生機構を通じて再造林1ha当たり5万円を補助する。大分県庁も1ha当たり10万円の助成を予定しており、実現すれば1ha(約2千本相当)の負担は、20万円から5万円と大幅に軽減される。森林再生基金は、大分県内の原木流通量を平均的な年間80万m3とした場合、大分県森林組合連合会等による森林再生機構の運営・管理費等も含め初年度で約4千万円の積み立てを想定しており、将来、植林面積の25~50%増加を目指す。
林野庁整備課が「全国的にも珍しい。林業界が連携して再造林を進めるのは有意義」と評価し、大分県庁林産振興室も「関係者全員の協力を得て木材の安定供給に繋げたい」と期待しているように大分県の取り組みは、再造林政策に腐心する地方行政の先駆的な事例として注目される。
